金色の怪物オルフェーヴル

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日本競馬史上最強馬は誰か?との問いに最も声が挙がるのはディープインパクトでしょう。言わずと知れた天才武豊を背に、その圧倒的な強さで史上2頭目となる無敗での牡馬クラシック三冠を達成し、古馬となってからも主要GIを4勝しただけでなく、引退のニュースが一般紙でも報じられるなど社会現象を起こした馬でもありました。

 

 
彼がターフを去ってから15年以上の年月が過ぎ、その間に競馬界には数々の歴史的名馬たちが生まれましたが、それでもディープインパクトを超えたと思わせた馬を小生は見たことがありません。しかし、並んだと思わせた馬が1頭います。それが今回紹介するオルフェーヴルです。

 

 
フランス語で「金細工師」と名付けられた彼は、その名の通り綺麗な栗色の馬体を持つサラブレッド。「おぼっちゃま」と愛称がつけられるほどお利口さんだったディープインパクトとは対照的に、調教師から「茶髪の悪ガキ」と揶揄されるほどやんちゃで、レース後に騎手を植え込みに振り落としたり、制御を失って馬群から大きく逸走しながらもそこからありえないほどのスタミナで再びレースに復帰したりと、破天荒ぶりを表すエピソードには枚挙に暇がありません。

 

 
しかしその強さはまさしく本物で、ディープインパクト同様牡馬クラシック三冠を達成した上に、同年の有馬記念では古馬をも蹴散らして年度代表馬の座に就き、古馬になってからは世界最高峰のレース凱旋門賞で2年連続2着と、日本調教馬の歴代最高着順を記録し、ラストランとなった有馬記念では絶好調ではないにも関わらず、並み居る強豪馬達を全く相手にせずレース史上2番目の着差となる8馬身差で圧勝し、最強の輝きをいっぱいに解き放ったままターフを去っていきました。

 

 
14戦12勝2着1回とほぼ完璧な成績を残したディープインパクトと比べるとオルフェーヴルは成績にムラがあり、GIの勝利数も少ないですが凱旋門賞の結果ではディープインパクトが3位入線(のちに失格)なのに対してオルフェーヴルが2着2回と上回っており、甲乙つけ難いです。とはいえ能力の大きさという点では両者とも傑出しているのは間違いありません。

 

 
引退してから今年でちょうど10年目を迎えるオルフェーヴルは現在種牡馬として活躍中。種牡馬としても頂点を極めたディープインパクトと比べると見劣りしてしまいますが、成績はまさに一流のそれ。父同様気難しさを抱えながらも底力を秘めた馬が多く、2021年には産駒のマルシュロレーヌが日本調教馬による初の海外ダートGI制覇という快挙を成し遂げました。いつの日か父を超える産駒が現れるのもそう遠くない未来の話かもしれません。まだまだこれからも私たちファンを楽しませてくれることでしょう。