先日、万年筆を購入しました。パイロットの万年筆で、青色。税込み¥1080。
万年筆は日本において、明治時代に新しい筆記用具として丸善や三越などで積極的に輸入され、後に国産化されるに至りました。昭和期になると国産万年筆生産は進展し、一般大衆へと広く普及します。誰もが万年筆を使用する時代になるに従い、万年筆は「大人への第一歩」として文化的価値を持つようになりました。例えば、進学や就職するに応じて万年筆を購入したり、あるいは、贈答したりする習慣が生まれます。要するに、子供から大人へと脱皮する際の通過儀礼の意味合いが込められていたのです。
今ではそのような習慣もなくなりつつあり、最近は万年筆よりも、高性能になったボールペンシル等をお使いになる方も多いでしょう。しかし、それにも拘らず、私はなお万年筆をオススメしたいと思っています。特に、これから就職活動をする学生の皆さん……学生だけに限定するのはしかし差別的であると今ふと思いましたので、新しい門出を迎える皆さんとしましょう。今こそ、この機会に、万年筆を使ってみませんか?
万年筆でまず魅力的なのはその見た目の美しさでしょう。エングレーブが刻まれたペン先や、カラフルな単一性の大衆向け万年筆のほか、セルロイド製、蒔絵が鏤められた華やかな装飾……また、その名の通り万年筆は半永久的に使うことができますし、カートリッジ式ならインク瓶を用意する手間も掛かりません。書き心地も、力を強く入れなくても滑らかに書くことができ、筆記者の癖にペンが徐々に慣らされて筆記者に合った書き心地になっていく。確かに、万年筆はメンテナンスが大変です。しかし、その手間を楽しむのが「粋」であると思いますし、万年筆は生涯の友にもなりうる存在です。どうして生涯の友と付き合うのに、ささいな手間を惜しんだりしましょうか。
万年筆には様々なメーカーがあります。海外だとペリカンやモンブラン、国内だとセーラーやプラチナ、パイロットの三大メーカー。高いものですと値段が10万円以上するでしょうか。ただ、一生ものの商品だと考えれば、かえって安いのかもしれません。
「安いのかもしれません」とエラそうに言った割に、私は冒頭で述べた税込み¥1080の万年筆を生まれて初めて使っています。しかしながら、これがなかなか驚くほど書き心地が良い。まだ私が書き慣れていないからかもしれませんが、インクの出が多少不安定ではあるものの、すらすらと文字を間断なく書き連ねることができる様はまさに夏目漱石を読むが如し。約1000円でこの書き心地なら、ちょっと値が張っても気分は悪くありません。
先ほどの配慮にも拘らず申し上げますが、このブログを読む方はおそらく学生さんで就活生の方が多いと思います。そこで、例を挙げれば、会社説明会等でさっと万年筆を取り出してスタイリッシュにブレイリオに書き込む……まずは見た目からと言いますが、同時に内面にも自信が湧いてくることでしょう。この機会に、いかがですか?